コラム「唐沢山城跡を考える」
●唐沢山城跡を考える
佐野市郷土博物館
館長 山口明良
全国山城サミット佐野大会に合わせて、郷土博物館では企画展『佐野の城館跡~唐沢山城とその支城』を開催しました。お城ブームということもあり、多くの来館者がありました。特に市内の来館者からは、自分の住む地域に城館があることを初めて知ったという感想が多く寄せられました。
唐沢山城の最大の魅力は、四百年以上前に築かれた石垣が現存していることにあります。また観光の視点から考えると、山頂付近まで車で行くことができて、老若男女を問わず手軽に戦国時代のお城を楽しむことが出来るというのも魅力の一つでしょう。
さて、唐沢山城では大坂城のタコ石のように、虎口付近に大きな石を配置するといった技術が見られますが、これは城主であった天徳寺宝衍(佐野房綱)が豊臣秀吉の庇護の下、築城技術も学んでいたからと考えられます。
昨年秋に本丸付近の大木が伐採されましたが、改めて石垣をみると経年や樹木等の影響で崩れそうな個所が幾つかあることがわかります。山城サミットの際に千田嘉博・宮武正登両先生がお話されていましたが、これらの痛んだ石垣を早急に修復する必要がありそうです。
戦国時代の佐野には唐沢山城を何度も攻めた上杉謙信や犬伏の別れの真田親子そして傾奇者で有名な前田慶次が訪れています。
これら戦国時代の武将たちに思いを寄せながら、唐沢山城がまちのシンボルとして、計画的に整備されるのを楽しみにしたいものです。
※ 記載内容は「さの文化第13号」(平成30年3月31日発行)より転記しました